健康対策で誕生!?横須賀海軍カレー
横須賀と聞くとどんなイメージがありますか?
ペリーが黒船で来航した久里浜は横須賀市にありますし、現在もアメリカ海軍の駐屯地であるため、まずはアメリカンな印象が強いですよね。
また自衛隊に防衛大学校・、陸上自衛隊高等工科学校もあり、他の街とは違う特別なものを感じます。
実際に横須賀の中心地にある全長300mの商店街である、通称「どぶ板通り」はアメリカと日本の文化が融合した独自の雰囲気があり、若者を中心に観光客に大人気!どぶ板通りは「スカジャン」発祥の地でもあります。米兵向けのバーやハンバーガーショップでは勿論英語が飛び交い、日本にいながらにして異国を感じられ、ミリタリーショップ等を覗くのも楽しいものです。
横須賀の人気グルメといえば前述したハンバーガーと並び、”よこすか海軍カレー”が有名です。
ブルーのパッケージのレトルトカレーを目にした人も多いのでは?
知名度の高いよこすか海軍カレーですが、その成り立ちや特徴を知るとより興味が沸いてきますよ!
名物・よこすか海軍カレーが誕生した背景は?
誕生の発端は今から18年前の平成10年のこと。
海上自衛隊地方総監の退官パーティーの席上で、横須賀と同様に海軍の主要拠点であった呉と舞鶴が肉じゃがの本家争いをしていることに触れ、横須賀もカレー発信の地として町おこしの一環に海軍カレーを利用するのはどうかといった趣旨のスピーチを行いました。
現在当たり前のように家庭に普及しているカレーライスですが、そのルーツは海軍で食べられていたカレーにあるのは事実。
これを受け横須賀市役所・商工会議所、そして海上自衛隊が協議・調査を開始し、海軍カレーを再現する方針が正式に決定。
翌年には横須賀市が「カレーの街宣言」を行い、”カレーの街 よこすか推進委員会”なるものまで発足したのです。
その後「よこすか海軍カレー」は商標登録され、レトルトタイプのカレーの製造販売も開始しました。当初は15社の協賛で始まったプロジェクトも、平成28年には90社を数えるまでになり、全市を挙げて横須賀=海軍カレーの認知度を浸透させています。
地元の主要路線である、京浜急行とコラボするなど、町おこしの一環としてのキャンペーンも精力的に行われているんですよ!
海軍カレーは健康対策の為の食事だった?!
よこすか海軍カレーのベースとなった、海軍のカレーは明治時代に生みだされたものです。
開国と共に西洋の食文化も伝播されましたが、一般家庭にまで浸透するのはまだ先の話。
この当時、大日本帝国海軍では軍人の死因の最大のものは”脚気”。
「脚気の原因は、軍隊食の栄養の偏った白米中心の食事にある」ことを究明した海軍軍医の高木兼寛は、同盟国であったイギリス海軍の食事を参考に、軍隊の食事を改善すべく尽力します。
そこで目を付けたのがイギリスでも食べられていたカレーライス。
船内でも手軽に調理できる上、肉と野菜をバランスよく摂取することが可能で、白米に合うカレーは海軍軍人にとって理想的な食事。
このレシピを「海軍割烹術参考書」に掲載したことで、全国の海軍にこれが伝わり、軍内の脚気患者数及び死亡者数が劇的に減少しました。
死亡者数はなんと2年間で約50名から0名にまで減少!
その後海軍だけでなく陸軍にも伝わり、その段階でカレーライスを食べる際には牛乳が添えられるようになったんだとか。
また呉と舞鶴が肉じゃがの本家争いをしているのも、カレーと同じ材料で調味料を変えれば肉じゃがになるから!現代でも1人暮らしでカレーばかりが続かないよう、半分を肉じゃがにすると耳にすることがあります。船内の限られた材料で食事を作ることと、どことなく似ていますね。
よこすか海軍カレーの定義
よこすか海軍カレーにはいくつかの定義があり、これを満たしたものだけが公式に認定されたよこすか海軍カレーとされます。
①海軍割烹術参考書のレシピを元に復元されたもの
②原則として横須賀市内でしか提供できない
③栄養バランスを考慮し、必ず牛乳とサラダを添える
横須賀海軍カレーの主な要件はこの3つ!
牛肉または鶏肉と人参・玉ねぎ・じゃがいもを炒め、小麦粉を炒めカレー粉をスープと野菜と共に煮込み、塩で味付ける。
この昔ながらの製法で作られるカレーは、懐かしさと優しさが感じられ、誰からも好まれる味わい深いものになっています。
レトルトの海軍カレーも良く出来た一品ですが、横須賀に出かけて実際に食べるのもオススメです。
平成28年現在、45店舗で提供されているので、事前に行きたいお店をリサーチするのも楽しいですね!